叩いて、伸ばして、天井に向かって 放り投げて

 友人の誕生日はこん月の末。日頃良く遊んでくれる友人に誕生日のプレゼントは何が言いか、尋ねてみた。
友人は言った。
「あの話『読書クラブ』の続きが読みたい」と・・・・・。
あの話はあれで完成、完結な話。あの後の2人の展開は読者が思い描いて欲しい。
しかし、友人はあの話の“それから”が読みたい、と言う。
私は提案した。
「あの話の続きはとても書けないし、書きたくない」
すると友人は第2の案を出してきた。
「じゃ、もっと長い話にして」
あの話は6日か7日間の間の出来事。
“手の早い男とお手軽でカマトトぶった女”の話と、度々私は人に言う。
もっと長くする事は可能かも知れない。
いろんなエピソードを入れ、2人の心理をもっと書き込んで
場面をいろんな所にして、そして思いつける限りの彼らのいる場面時描写を書き込む。
私は友人に言った。
「もっと長くね、OK.どのくらい長く書けるか分らないけれど、書いてみる」
友人は言った。
「200ぺージとか、300ページくらいでね」
私は返事の変わりに(^-^)こんな表情を友人に向けた。 
帰宅して私は早速『読書クラブ』の引き伸ばしにかかった。
帰宅途中の電車の中で、幾つかの加える事が可能なエピソードを書き出し
ロケーションを幾つか書き出し、2人にそれぞれ、”悪い、またはただの癖“を思いついた。
それらのメモをパソコンの横に置いて私はマスターストーリーをコピーして
キーボードを叩き始めた。

 始めは快調な滑り出しだった。
彼らははじめぎこちなく会話をはじめ、やがてスムーズに会話が弾み始める。
あるエピソードで2人は声を出して笑い、知らない同士だった関係からクラブ仲間としての関係を確立する。
会う回数が増えるため、場所をカフェや本屋という公の場所にして
思いきってCD屋も加える。そして音楽についても語るシーンを書き加える。

 書き始めて数日かなり長い話になったこの私の話は、ある時点から“私の話”ではなくなった。
私はついにつぶやく。
「この2人がだんだんキライになってきた」
そして私は書く事を辞めた。

 それはとても面白い体験だった。

確かに私がキーボードを叩いて、話を作っている。
でも彼らは私が作り出したキャラクターから脱皮したのか
私の会ったことの無い、人物へと変身してしまった、ある時から突然。

「こんなことってあるんだなぁ・・・・」

これが私の率直な思いだった。
書いている人ならば度々経験することなのかも知れない。
それでも私には初めての体験だった。

 私は友人に事情を話し、完成しなかった話の変わりに誕生日プレゼントに紅茶を贈った。
彼ら2人がいつも飲む、アールグレイを。

 ある女性の友人はあの話を「綿菓子みたいなお話」と言った。
そしてある男性の友人は「パワフルなラブストーリー」と言った。
私は“甘すぎるおとぎ話”と思っていた。

 ピザの生地を作るようには、簡単には伸びないことが、よく分かった。
なんにしても面白い体験だった。
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by mercedes88 | 2006-01-31 13:18 | 日記
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