私流 結婚式の楽しみ方

 前回書いた「彼女へ」での、彼女の結婚式へ職員一同招待を受け出掛けた時の事。
私達は新婦の職場の同僚なので、2人がお雛様様しているステージのすぐ前のテーブル2つが確保されていた。
その左横には新郎の職場の同僚達のテーブル。

 結婚式は、結婚式に倣って始まり、まずは新郎の職場の上司のスピーチ。
次が新婦(ワイワイ!)の職場のボスであるうちの会社の社長のスピーチ(がんばれ!)
普通、次は電報読んだり、お色直しだったり、かな?
ところがスピーチをされる方がもう1人おられた。

 書き忘れたが、この結婚式、私はほとんど『狂乱狂気』の心境をもうガムテープでグルグル巻きにして
誰にもこの胸のはしゃぎようを悟られないように、そりゃー大変だった。

新婦は社会人ラグビーでは有名な大手の会社の社員。
本人もラグビー部に所属して、レギュラー。
と、言う、ことは、『もしかすると、日本代表とかも、来るかも知れない!』

 話を戻そう。
その最後のスピーチをされた方は新郎の高校の時のラグビー部の監督を務めた方だった。

「○□くん、☆♪さん、ご結婚おめでとうございます。
でもなんで、俺なんかがスピーチするんでしょうね。こんな立派なお式なのに・・・
・・・・・その時の試合は残り時間が17分で11点離されていたんです。しかしその反撃の口火を切ったのが、この○□クンなんですよ!彼がボールを持って走っていく姿を、今も俺は覚えています。”追い付ける!”と思える追い込みでした。最終的には2点及ばず負けましたが・・・・・・・」

私は目の前に所狭しと並んだ美味しそうなお料理を眺めながら、頭の中は全く別の事を考えていた。

”ちょっと待ってよ!私、その試合、見たわ!”

10年ほど前の試合の話だった。
新郎は高校生。頭の良い高校で有名な△■高校生で、ラグビーのレギュラーだった。
高校の花園を目指しての大会の時、私は新郎のいた高校と戦っていた相手の高校を応援していた。
その当時働いていた同僚の息子さんがその高校の生徒で、同僚と一緒になって職場でテレビを見ていた。
新郎の高校は進学校、もちろん私の同僚の息子さんが行かれている高校も、出来の良い生徒の多い高校だ。
同僚の息子さんの高校はラグビーでは日本でも名の知れた高校。
しかし、あの試合の後半の残り10分辺りからの、相手の畳み掛ける切れ目のない攻撃に
「こうなったら追う方が勢いあって、とんでもない力出したりするのよね。今年は負けるかもね、これ」
などと、言いながら見ていたのだ。

 スピーチを実に短くまとめられて新郎の高校の時のラグビーの監督さんは、スピーチが終ると、なんと私の斜め後ろの椅子に座った。

私は思った。

”お料理は美味しい、お式はデカい!新郎の友人もデカい、私にとっては有名人も居る、でも、うちの会社のみんなは『結婚式』している。私は、私は、私は私をやっちゃいますよー!”

私は時々斜め後ろのスピーチをされた監督さんをチラチラ見ながら、話しかけるタイミングを探した。
そして、監督さんが、手に何も持たず、一瞬 『ホッ』 とされた時を見逃さず、私は誰もが、素晴らしく見事に結婚式の招待客をやっているテーブルの椅子から立ち上がり、クルリと同僚に背中を向け、監督さんの椅子に近づき、自分の顔を椅子に座られた監督さんの顔の辺りまで持って行き、こう言った。

「先程のスピーチ、素晴らしかったです。実は私は、お話になられた試合、見ていたんですよ。」

もちろん監督さんは喜んでくれました。
私は相手側を応援していた事を話し
「今回は負けるー!」
なんていっていました・・・・などと話した。

監督さんは自分がスピーチの中心に持ってきた試合を見た、なんていうオバサンの登場にうれしくなったのか、ラグビーについてご自分の夢を熱く語り始めた。

「日本はまだまだ世界に通用しないんですよ。子供の頃ラグビーをしていても、中学や、高校に入ると、勉強の方が忙しくなってくるんですよね。ラグビーなんかやっているヒマ無いみたいな感じ。で、辞めていくんですよ。
俺は自分で選手を育てたいんです。小さい頃から日本代表になるまで!って感じて。
バルセロナなんか強いでしょ、あれは下部組織があるからなんですよ」

私は思う。
”ヤダ、なんでバルサが出るのよ!”
そしてく言う。

「バルサの下部組織はしっかりしてますからね。だってあのチームはバルセロナの人達のチームですからね。私はプジョール好きだから、天晴れ下部組織って思っていますよ。」

監督さんは我々の話題のスポーツの種目が変化した事に気が付かないのか、気が付くヒマが無いのか、話を続けられる。

「だからですね、俺はもっとグローバルに考えていこう、と思っているんです。だから英会話もはじめたんですよ」

「私も英会話習ってるんですよ」

「俺は#$のЭ£¢Юで習っているんですよ」
「私も#$のЭ£¢Юで習ってます!」
「先生、誰ですかぁー?」
「L先生です」
「俺もL先生!」
「私、最近忙しくってあまり出掛けていないんですけれど、プライベートの先生で、一番仲良くなった先生なんです。外でよくお茶とかしてるんですよ」
「あーそっすかー!今度3人でメシでも行きましょう!」
「良いですよ!」
「Lに言っときます。”行こう”って」
「よろしくお願いします。お話できて楽しかったです」
「いやー、こちらこそ、これからもよろしくお願いします」

 私は少し後ろを振り返るのが怖かった。
しかし、私は顔にへばりついた笑顔をストーンフェースに変えて
静かに、まるで、”ちょっとお手洗いに行っておりましたのよ”という感じの顔で自分のテーブルの椅子に座った。
誰も、何も、言わない、聞かない、私を見ない。私の会社の同僚はみんな大人の常識人なのだ。(とっても大人なんです)
私の様に、20分近くも立ち話しながら大声で笑ったりしないのだ。

私は頭の中でつぶやく。
”あー楽しかった。○十年前だったら、『新郎のお友達、しっかり見て、いいなぁ、と思う人いたら話しかけんのよ!』なんてよく言われたけれど・・・”
さすがに最近は言われないし、大体結婚式に招待されなくなった。

しかし、2人の人間が結婚する、それだけで、これだけの人が集まるのだ。 
年中新しい人と出会いたい私。出来立てホヤホヤのお知り合いを1人位こしらえたっていいじゃないの!

と、大声で言っても、反論する人はいないと思いう。
昔(!)言われた通り、私は話の合う人を見つけた、ただそれだけのことだけれど
新郎&新婦にお聞かせしたネタだと思っいる。

「さぁ~祝い酒じゃ、祝い酒じゃ!」
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by mercedes88 | 2006-04-17 21:33 | 日記
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