ジプシー

 先日この時期の落ち込みの激しい私を友人が飲みに連れ出してくれた。
お酒が苦手な私だが、雰囲気は好きなのでそれはうれしい思いやりだった。

我々は5時間で3軒のお店を回った。
初めのお店はアイリッシュパブ。
そして友人は私にこう切り出した。

「なぜいつも年のことを言うんだ。誰も君がオバサンなんて思っていない。でも何度も言われると、本当に『この人オバサンなんだ』と思い始めるよ。服装だってぜんぜんオバサンみたいじゃないよ。だからやめよう、自分で年だから、なんていうのは」

この話は1時間続いた。
そして私は思った。

・・・この人私の事オバサンと思っているんだ・・・

そして新たに私はあることを思い出した。

場所はローマ。
私はミケランジェロの彫刻「モーゼ」を探して、道に迷っていた。
ちょうどその時、道路の脇に車を止めて降りてきたイタリア人の男性を発見。
年のころなら50代なかば、おなかのせり出し具合からも、美味しいものを食べている感じ。
私は彼に小走りに駆け寄りながらまさに『セニョール』と言おうをした時
彼の右の手のひらが『あっち行け!」と3回私に向かって動いた。
私は凍りついた。

私の事、ジプシー女と思っている

その時の私の服装は茶色で小さな花柄のフレンチスリーブのワンピース。
コットンで、スカートの部分は広がるようになっていて丈は膝よりやや下。

ある友人はその服を着た私を見て「ムームー着てるの?」と言ったことがある。
長い黒髪を無造作にアップにして、手には何も持っていない私はまさにジプシー女だったであろう。
パリでは道を聞かれたこともあって、そんなラフな(ラフ過ぎ)服がいいと思っていたが。

とにかく私から逃れるために再び車に乗り込もうとするその男性に私は大声で言った。
「セニョール、モーゼ、モーゼ、ミケランジェロ!スカルプチャー・モーゼ!」

彼はその後、私にモーゼの置いてある教会の場所を教えてくれたが、私は『モーゼ、ワンダフル!ミケランジェロ、グレート』ひたすら最上級の形容詞を並べていた。

 友人との5時間、その後も友人は私に説教を続けた。
やれ、恋愛をしろ!行動をおこせ!書くなら酒を飲め!そして極め付けは、幸せになれ!

あの時はまったく反論はしなかったけれど、書くのに確かにどれも必要かも知れない。
でも、ジプシー女にしか書けない話も、あるんだけれどなぁ・・・・・。

友人の思いやりに心から感謝を。
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by mercedes88 | 2006-04-26 08:10 | 日記
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