欠席の流儀

10代は何でもはっきり口にした。
「あれはこうこうだからイヤだ」 「私はそう言うこと事が嫌いだ」 「興味が無い」
20代になると、少しばかり丁寧な言葉使いになったものの、以前と大して変わらない。
「習っているレッスンの試験なので」 「おばが入院して」
30代になると、断わる事自体がストレスになってくる。
「あーそうですね、えっと・・・いつまでに返事をすればいいんでしょうか?」
「職員全員が参加されるのならば・・・・じゃ私も参加させていただきます」

食べる事 飲む事が大好きな人は世の中に大勢いる。
10人いれば半分以上が飲み会が楽しいと答えるかも知れない。
もちろん会社の飲み会はその中に入らないかも。
でも『とにかく飲めれば良い』と言う人もいるかも知れない。
ーだって、会社の飲み会が終って、2次会で楽しめばいいじゃん!-
ごもっとも。

私は痩せている上に、1度に沢山食べれないので、時間制限がある会食が苦手だ。
会社の飲み会などは断われないから出席するが、メインが出てくる前に満腹になり
近くにいる人に
「良かったらこれ、食べてくれません?」
といろんな人に自分の食べ物をくべるハメになる。
美味しいと分っているが、どうしても入らない。
残すのも失礼と思い、結局回りの人に食べてもらう。
そしてうちに帰って
「あーお腹すいた~なにか無かったっけ・・・・・」
と冷蔵庫を覗くハメにはる。

島へ来てからも数回会食に誘われた。
初めての時はやはり断われきれなくて出席した。
すごいメニューで、なんと”鍋とすし”

鍋は適当に、白菜や豆腐、ネギなどを食べていれば、食べているように見える。
しかし、途中から寿司が出て来たのには参った。
人数分が出てくる。しかもいくつか多く握ってくれていた。
島へ来てすぐの職員へその余分が当然回ってくる。
拷問に等しい。
オマケに私は、寿司は好きだけれど一口に食べると言うのがダメだ。(刺身とご飯が良い)
正直、粋な食べ方かもしれないが、どうも味わう事が不可能だ、もちろん私の場合。
以来会食の誘いがあると、体の調子がイマイチなので、と言う理由で断わってきた。

ある日、私が島へ来る時乗った船で一緒にやってきた同僚と一緒に控え室にいた。
彼女は同年代という事もあり、いろいろ話せる。
丁度主任がやって来て、島に一軒だけあるイタリアンに皆で出掛けるから
私にもいらっしゃい、と声をかけられた。
困った。最近はアレルギーも一段落付いたし、なんと言って断わろうか、と考えていたら
隣の同僚が言った。

「この人ダメなの。大勢の中ではご飯食べられなれないです。
何処で育ったんだか知らないけれど、ヘンな人なんです」
すると主任が、今回は診療所の職員だけで役場の連中は来ないから、知っている人だけよ、と言うと、再び彼女が口を開く。
「この人の世界って3人でも多いんですよ。無理無理。しかも見てください。やせてるでしょ。
一回食べなかったらひっくり返るから。家で好きな様に食べさせておかないと、働けなくなりますよ」

さすがにそこまで知って主任も無理には誘えず、残念ね、と言って控え室を出て行った。

私って本当にラッキーな人間だと思った。
こんな島へ来て、半年だけ何とかサバイブして
とにかく仕事を完璧にやろう、と考えていた。
その他の事は問題が出たときに考えようと。
会食なども誘いもそう言う問題のひとつだった。
しかし、なんと強力な助っ人が現れたことか!
しかも、彼女の流儀は、「本音」だ。
もちろん人の事だから、本当の事を言えたのかも知れない。
しかし私にとっては、なんともありがたい事だ。

私はいろいろ体裁を考えてしまう嘘っぱち野郎だけれど
ここへ来てまたしても素敵な人に出会えた。

私って、ホント、ラッキーなええカッコしだなぁ。
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by mercedes88 | 2007-04-26 17:18 | 日記
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