笑顔

中学生の時、ルーカスの作った「アメリカン・グラフィティー」に夢中になった。
音楽といい、映像といい、出てくる人物たちといい、とにかく好きになった。
公開期間中、手元にあるお金を全部、映画館でこの映画を見るために使った。
当時はまだ映画は封切りでも2本立てだった。
私は贅沢でも、好きな映画を見て、余韻を持って帰り道を楽しみたくて
1本しか見ないで帰ることも多かった。
この時の「アメ・グラ」とのカップリング作品は「エアポート’75」
最初に「アメ・グラ」を見た時この映画ももちろん見た。
面白いことに、「エアポート’75」の舞台となる飛行機の中で上映されている映画が
「アメリカン・グラフィティー」だった。

「エアポート’75」の映画で、機内で妊婦さんが陣痛に耐えるシーンがある。
『この絵を見える所において。これを見ていると気持ちが落ち着くの』
というような、セリフを言いながら花の描かれたものを付き添いの人に渡す。
それを見て私は
「あ~何となくアメリカ人って感じ」
と意味も無く、また、訳も無く、何となく、思った。

ある期末試験当日。
徹夜で暗記した世界史の世界、もちろん自信などあるはずも無い。
私は制服の胸ポケットから生徒手帳を取り出し裏表紙に入れた
当時好きだった映画スターの写真を見てつぶやく。
「・・・うまく行くように、応援していてね・・・」
手帳から映画スターが微笑みかけている。
その笑顔を見て自分も笑顔になる。
ふっと思う。
「あ・・・・これって・・・」

四国へ父と2人で旅行へ行った時。
夕食のご馳走が並べられたテーブルに座っている父を向かいの席からカメラに収める。
後でその写真を見ると、なんとも嬉しそうな顔の父がそこにあった。
外国人の様に私は、家族の写真を持ち歩かない。
ヨーロッパを歩いている時
電車の窓から陽が落ちて暗くなった景色を見ていて
その時の父の顔を思い出した事が1度あった。
前に座っていた、東欧の何処かへの国へ行くと言っていた人が私に
「楽しい事でも考えているの?」と言った。

私の友人に村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の戦争の話を所を
「あーあそこ飛ばして読んだ」と言った人がいる。
私は絶句して、そう言う読み方もあるのか・・・と思った。
別の友人はある頃
2人してピアニストが主人公のテレビドラマに夢中になって
会うたびその事を話していたら急にある日
「来週からしばらく見ない。だってあの人耳、聞こえなくなるんでしょ。そんなの見たくないもの」
ピアニストが奇跡的に耳が聞こえる様になってから彼女は再びドラマを見始めた。
私にはもちろん、理解出来ない見方だった。

これでもこの頃この友人たちの、ちょっとヘンな行いが、理解出来る気がして来た。
思いのそこにはー笑顔でいたいーというのがある気がする。

ランチを10分もかけずに食べて仕事場へ戻るこの頃。
その短い時間でも、私はいつも携帯電話の中に入れている一枚の写真を見る。
これを見ると無条件で笑顔になる。
声が聞こえたり、音楽が聞こえたりもする。
そう言う事が、気持ち良い、と思うし、必要、とも思う。

毎日ずっと笑顔でいられたらもちろんそれに越した事はない。
でも、それは無理。
だけど、何かで笑顔になれるのなら、その何かを使いたい。
笑顔になれて、心が幸せな気分になれるのなら
その材料を集めたい。
ちょっとうつむき加減な時にそれを取り出して笑顔になりたい。
そんな事をこの頃思った。
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by mercedes88 | 2007-07-10 13:23 | 日記
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