ケンカの思い出-Northwest Passage

その頃1人の友人がよくクラブで歌を歌っていた。
ライブにおいで、と誘われるも夜出歩くのが苦手な私はいつも「今度ね」と。

ある日その友人からメールが届いた。
-週末のライブは無料で自分だけのライブだから是非おいでー
12月の寒い夜、凄い武装で出掛けたライブ。
実はこのライブ、無料ではなく1800円もした。
それはある常連客がその狭い店を貸切にしてある集いを開いた際
BGMとして友人に声がかかったというものだった。
私は言われるまま料金を払い、出来る限り体を小さくしてそこに居る自分を嘆いた。
友人はそんな私の気持ちなど知らず、時間になると店のカウンターの前に現れ
椅子にかけて曲の説明をし、ギターを弾きながら歌い、その繰り返し。1時間のライブ。

数曲聴いた私は自分の手帳の空いたページにその時の気持ちを書いた。
-なんだろう、これ・・・ただ熱いものがこみ上げてくるじゃない、もっと深い感じ?-
演奏が終わると友人のところへ行き、良かったよ、と伝え走って駅へ行き最終電車で帰宅。

帰宅してメールでー今日聴いた曲はどれも心に何かを残したけれど、何を残したのか
上手く書き表せない。聴くことが出来て良かった、と思える曲達だったーと送信した。
翌朝メールをチェックすると夜中の3時頃、友人からの返信が届いていた。

ーごめん!無料だと思っていたんで誘ったんだ!お金いくら払った?今度返すね。昨夜の曲は全部Stan Rogersの曲。いつも彼の歌は歌っている。セレクトしてCDを贈るよ。来てくれてありがとう。ー

私はその夜友人にメールを出す。-料金の事気にしないで。帰りにATMのボックスあったから壊して電車代盗んだから。CD楽しみにしてる!-

しかし待てど暮らせど友人からのセレクトCDは来ない。たまにあっても
「ごめん、まだ完成していないんだ」と。
ある日ふっと思いついてネットで検索するとStan のHPが出てきた。
そしていろんな事も分かった。
でも、一番の収穫は、そのサイトを開くと同時に、彼のある曲のイントロが聴けた事。
それからたびたび、そのイントロを聴く為にそのサイトへ行った。
そして私は友人のセレクトCDを待ちきれず、アマゾンでそのイントロの曲の入ったCDを注文する。

偶然その日の夜、友達と出かけたお店で友人とバッタリ出会い、Stanの話からイントロの話になり、今日アマゾンでオーダーした事を話すと、友人はさらっと言った。
「あぁ、これで僕らの友情も終わりだ。残念だなぁ・・」
そう言い残すと何所かへ消えてしまった。
私は帰宅してアマゾンのオーダーをキャンセルして、そのことを伝えるメールを友人に送信。
5分としないうちに友人から返信が届くー僕らの友情復活にバンザーイ!ー
それから数ヶ月後、友人からすごい分厚いセレクトCDを渡された。
1曲、1曲に説明書きまでしてある。アマゾンではオーダーできないセレクトCD.

今は遠くにいて会うことが出来ない友人。だからもうケンカも出来ないけれど
Stan Rogersを聴かせてくれてありがとう。


[PR]
by mercedes88 | 2008-09-20 08:33 | 日記
<< 世界史のお勉強に くらげ >>