カテゴリ:ストーリー( 14 )

チケット

改札で上手く通貨出来てい無かったらしく、目的地で改札を出る際に警報がなり
駅員のいる窓口で切符を渡された。
「これで通ってください」
カードや定期券で無い、普通の切符。



夕方の遊園地へ出掛けたのは翌日まで待てなかったから。
明日は朝開門と同時にこの遊園地で思い切りコースターに乗る予定なのだが
現地に着くと明日までが長い。
空港からモーテルへ来る途中にタクシーが遊園地の近くを通る。
空に突き出たコースターのレープが見える・・・明日までなんて待てない!

3時間程度で閉門となるにもかかわらず、とにかく入場料を払いコースターの場所へ急ぐ。
一回でも多く乗りたい!
そんな気配を察したのか、若いカップルが目の前に現れた。
女性の手には、この遊園地の1日フリーチケットがある。
「私達もう帰るの。これ持ってる?じゃこれ使って」

ここではアトラクションに乗るたびに料金を支払うシステム。
朝から入ってあれこれ乗るならフリーのチケットを買って乗り放題が断然お得。
「わぁ、ありがとう!」
あぁ、ついている! メチャメチャついてる。
思わずニタニタしてしまう。
パークが閉まるまでコースターの乗る。 
-印籠の様にフリーパスを掲げてー


ある日、ルーブル美術館の入場チケットを買う為に列に並んでいた。
混む事を予想して早く出掛けたにもかかわらず、すでに長い列が出来ていた。
パリは、いくつかの美術館で割引の効くチケットを発行している。
ただの美術館さえある。ここルーブルでは10%オフになる。
そのチケットを手に並んでいると、1人の女性が真っ直ぐに自分の前にやってきた。
そして日本語で言った。
「あの、日本の方ですよね。実は入場券があるんです」
と言ってルーブルのチケットを見せる。
「私、割引が効くチケット持っているので、結構です」
「あっ、いえ、これよろしければ使ってください。差し上げます」
1人の時間が多く、感じとしてはいつも 『誰からも騙されないぞ。ジプシーなんか怖くない』
それがこんな冷たい言葉を言わせる。自分と同じ国の人が好意的に話しかけてきているのに。
情けないやら恥ずかしいやら。
赤面しながらお礼を言ってそのチケットを手に、すぐに長い列から離れ
憧れの名画を見る為に、足が既に小走りになっている。


不思議な事に、5つ星をもらえるくらいの方向音痴が一度も迷わずに目的地へ行くことが出来たベニス滞在。
水上バスにも慣れ、乗り替えもー大したこと無いわよ、そんなことー
初めは1日、次には3日とフリーの水上バスのチケットを購入してあちこちの教会で絵を見る。
ベニスを出た日、最後の水上バスから降りて駅へ向かう道を歩く。
これからベニスへ行く多くのツーリストとすれ違う。
短パンのポケットに手を入れると3日間有効の水上バスのチケットに手が触る。
前からやってくる若いカップルに声をかける。
「ハイ!実は3日間有効の水上バスのチケットを買ったんだけど、まだ1日使えるの。私はこれからミラノへ。
良かったら使って。1日しか使えないけれど」
若いカップルは笑顔と一緒に礼儀正しく礼を言って、チケットを手に水上バスの乗り場の方へ歩いて行った。


それは旅の1つの甘いルールかも。
大騒ぎするほどの甘さじゃないけれど。
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by mercedes88 | 2009-05-01 23:01 | ストーリー

不確かなもの

うっすらな緑色の視界が、何故こんな色なのか・・・と言う疑問を体のどこかに思わせる。
深く息をした事に気づくと同時に自分の部屋に居るとわかる。
部屋の明かりを消しても留守電装置のランプが緑色の鈍い光を放ち、白い壁の部屋全体を薄暗い緑色の部屋にする。
強風がいつもの様に古い部屋を揺らす。島では何処にいてもこの風から逃げる事は出来ない。

胸苦しさが手のひらと足先に熱い血を走らせる。
体の下に広がるシーツの左右に胸の上で組んだ両手を解き置く。
ひんやりとしたシーツの感触を手のひらが感じる。
次に感じたものは体の上の布団の重さ。
胸苦しさは治まらずひんやり感じたシーツがすぐに生暖かく感じ、両手が熱さを冷ます為立ち入られていない場所を探す。
体から少し離れた腕が居場所を見つける。
脇の下に汗をかいている事に気づく。
その気づきがより一層呼吸を深くさせる。
ベッドに横たえた体が瞬時にガクンの沈む気がする。
深く呼吸をしようとするがなぜか出来ない。
出来ないと分かるとまた一層息苦しさを感じる。
右に体を向けてみた。
寝返りをした時に折り曲げた右腕が胸に当たり右の手のひらが心臓の鼓動を数える。
やっぱり早い。
ベッドの上に起き上がり足を床に下ろす。
脱ぎそろえたスリッパが両足を迎えそこない床の冷たい一撃を受けた両足が素早くスリッパを探り当てる。
両手を太ももに置いて深呼吸をしてみる。
体が前かがみになる。
深い息でかえって溜めていた力を使ってしまった気がする。
しっとりとしたパジャマの布地が肌に不愉快さを与える。
来たか・・・・と思う。
昨夜食べた夕食で眠る前に蕁麻疹が出たので、薬を飲んでいたがそれが効かなかったのだろう。という事はかなりやっかいな事になる。

部屋の明かりを付ける為ベッドから立ち上がり右に歩いて部屋のドアの横にあるスイッチを押す。
薄暗い部屋に慣れていた目に白い壁がまぶしい。
数秒目を閉じる。
息をした時に肩が上がっている。
部屋の真ん中の置いたテーブルまで歩いて引かれたままだった椅子に座る。
テーブルの左端に置いた四角いカゴから薬の入れた袋を取り出す。
両手が汗ばんでいるのが分る。
袋を逆さにして中身をテーブルに出す。
右手の転がり出た薬のいくつかを掴み名前を見る。
紫色で名前の書かれたアレルギーの薬が入っていない。
切れている・・・。
背中に汗が走るのが分る。
テーブルの右端に置かれた電話機の受話器を持って短縮ボタンと8を押す。
呼吸をしている事を考えない様にしようとしている自分が滑稽に思える。
そう思う事こそ、その事を考えている証拠なのだから。
6回目の呼び鈴で診療所の当直をしている看護師が出た。
「いつものアレルギーの薬が効かないらしくてさっきから息苦しいんです」
「こちらへ来れますか?」
「救急車を呼んでもらえますか?こんなに息苦しいとさすがに動けなくて」
「OK。じゃすぐにそちらへ行くよう連絡しますから。一旦電話切りますよ。大丈夫?」
「はい。がんばります」

薄暗い視界の中の左側で四角いテレビがはっきり見える。
テーブルの上にあったテレビのリモコンでテレビをつけてニュースを放送している画面にしてベッド戻る。
ベッドの端に腰掛けて肩で息をしながら気を紛らわそうとテレビの画面を見る。
アレルギー発作で息苦しい経験は無かった。
初めて蕁麻疹が出た時、アレルギーによるもの、と説明した医師が
「蕁麻疹くらいだとまだいいけれどね 体の内側、たとえばのどなんかが腫れたりすると息が出来なくなって怖いんだよ」
と言った言葉が頭に浮かぶ。
のどの張れで息が出来なくなっているんだ。救急車が来て、酸素を吸ってものどが塞がって来ているのなら意味ないじゃない!そう言う場合どうするの?こんな小さな島で一体何が出来るの?
そう考えているうちに見えていたテレビの画面が白っぽくなって来た。
足はそのままにしてベッドに体を横にする。目を閉じて耳を澄ます。救急車の到着を知るために。でもこのままじゃドアまで歩けないかもしれない・・・・・・
そう思うと急に胸が痛くなってきた。
ドアの鍵を開けるのを忘れていた・・・・・・
そう思った時テレビのニュースが耳にはっきりと聞こえた。

「只今、患者輸送の為に要請されたヘリが島へ到着する前に交信が途絶え、現在捜索中と言うニュースが入りました」

ヘリの操縦士や乗組員達は誰の助けを待つのだろう・・・・・・
そこまで考えた時、体が深く、深く沈み込むのを感じた。
そして次ぎに、体が落ちるのが、分った。
両手が動く・・・・・・。掴むために。
それが一体なんなのか、分らないけれど。


島へ来てから、いつも頭のどこかにある不安をストーリーにしてみました
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by mercedes88 | 2007-04-17 06:25 | ストーリー

存在しなかった想いへの後悔

彼はまるでそれが人事の様に言った。
「近頃眠れないんだ。疲れているのに眠れない・・・まぁそのうち眠れると思うけれどね」
彼女はわざとそれが大した事ではないという感じで、椅子の背もたれに預けた体を動かさずに言った。
「何日ぐらい寝てないの?」
彼は短く答える。
「2週間」
彼女はゆっくりと言葉を選んで言った。
「全然寝ていないはず無いから、短くても深い眠りをしていれば大丈夫よ」
彼がカフェの天井を仰ぎ見ながら言った。
「知ってる。だから心配してないし・・・」

1年前のある日、彼は彼女に言った。
「これに関しては君とは違う考えなんだけれど・・・・」
半年前のある日、彼女彼に言った。
「あなたが行く事を知っていたら私も行くんだったのに・・・」
そんな言葉を聞いて、彼らは思った。
彼は、彼女は、どう思っているのか・・・彼の事を、彼女の事を。

今彼は、彼女と同じテーブルに座り、彼女の目を見ながら話をしていた、落ち着いた声で。
「君のケースとは全く違うんだ。それにこの1週間は眠れるようにもなったし・・・」
彼女は興味なさそうに答えた。
「良かったわね」
彼は思った。
・・・彼女の気持ちが離れていった・・・
彼女は確信を持った。
・・・彼はもう私の事なんか考えていない・・・

彼は言ったことがない、彼女への思いを。
彼女は触れた事がない、彼に。
そして今、彼は切なく思った。
・・・彼女はもうボクを想っていない・・・
彼女は今、ため息をついて悟った。
・・・彼はもう私の事など見ていない・・・

たとえ彼が『今も君を想っている』と彼女に伝えても
たとえ彼女が『今もあなたを愛している』と彼に伝えても
彼らはその言葉を信じない。
知りたいけれど、知らない事を選んだ。
そう決めていながら、彼は、彼女は、必死に真実を探した。
言葉では無い、目に見えるもので、すべてで。

彼は密かに思う。
・・・この世の中で一番必要な人は彼女だ・・・
彼女は密かに思う。
・・・彼に出会えて幸せだわ・・・

言葉を使う事を恐れ、彼らは、自分の思いを無視してきた。
そして今、彼は、彼女は、自分達のゲームのルールの複雑さを知った。

彼は思っていた。
・・・彼女に愛と告げても、彼女は信じないだろう・・・
彼女は思っていた。
・・・彼に想いを告げても、彼が戸惑うだろう・・・・。

彼は、彼女は、深刻すぎた、臆病すぎた、求めすぎた。
そして、彼は、彼女は、今、もう終ったことを知った。
何も始まらずに、それでも終わりの幕が下りた事を。
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by mercedes88 | 2006-11-26 09:54 | ストーリー

神様へのリクエストは鼻血

 丁度5階の非常階段のドアを開けた時、5階の中央デスクの電話が鳴り出した。

8時からの仕事を、のろまだからと7時半から始めたのに、8時40分を過ぎても9時には終了予定が、上手く流れていない事は分かっていた。

「どうしてだろう・・・スムーズにこなしているのに!何故9時に終われないんだろう?」

1度警告にも似た質問を受けた事がある。

「もう20分程度前から2階のコピー室のコピー、終っているみたいですけれど、ご存知ですか?」

・・・・分ってる、ちゃんと分ってる、もう終っている事は。
でもそれは最後に取りに行けばいいから、今しなくても良い事なんだ・・・・

5階の中央デスクで鳴り始めた電話が、以前の警告質問だ、と私は思った。
誰かが電話を取って、自分の名前を呼んで
「コピー機の方、終っているって今連絡入っていますけれど、いいんですか?」
と尋ねられる自分が脳裏に浮かぶ・・・・・
誰かが私を呼ぶ前に・・・と5階の非常階段を駆け下り2階のコピー室を目指す。

8段ずつの非常階段。5階から8段駆け下りて、手すりを握った手に力を入れて
体を勢い良く4階への8段の階段へ向ける。
体は遠心力で勢いつき4階の階段へ飛び込んで行った。
しかし、私はもうじき50歳を迎える人間だった。
そしてその遠心力は、50歳には止める事が出来ない程のスピードをもっていた。

私の頭は4階の階段の3段先辺りへ行っていた。
だが、足は未だ階段を一歩も踏み出していなかった。
そして私は頭に鋭い衝撃を受ける。

私は頭を両手で抱えつぶやく。

「痛~い・・・・」

2段ほど降りた階段に座り込んだ瞬間、足元の白いリノリュームの階段に 1滴血が落ちた。
私は、強く、思った。

「どうか鼻血でありますように!」

鼻血なら、ティッシュを鼻に詰めて9時までになんとか仕事を終えられる。
どうか神様、今は鼻血で、お願いします。

私は階段に座ったまま頭から右手を離し、鼻元に手を当てた。そして右手を見たが血の色はなかった。
そしてまた足元に1滴の血。また1滴。また1滴。
それはスピードがだんだん速くなった。

私は微かに違和感を感じる額を右手の中指で触った。
鋭い痛みとともに、右手に感じる暖かなもの。
焦点を合わせるには目に近すぎる右手のひらに赤いものが流れるのが見える。
焦点が合わなくてもそれが血であることはすぐに分る。

発信地が分ると脳に連絡が行くのだろうか?
『オーナーが出血地域を確認』・・・・なんて感じで。
そうすると脳は心臓にその信号を送り、心臓が「ドキドキ」感を出す為脈を早く打ち始める。

私はそんな事をかんがえ、なお且つ、鼻血にしてくれなかった神様を呪いながら
とりあえず4階の非常階段の鉄のドアのノブに手をかけ、力を入れて少し開けた。
丁度中央デスクが見えて、相川さんがいた。私は彼に声をかけた。

「相川さん、ちょっと来てくれます?」
彼は私の見て大声を出した。
「大丈夫ですかぁーーー!」

彼はティッシュの箱を持って非常階段のドアを開けたが、それが充分なものでないと分ると
「タオルもって来ます」と言ってすぐにドアをあけて出て行き、1分もしないうちに戻った。

「これで押さえて」
「何処押さえたらいいか教えてください」
「今手で押さえている所、そうそう、そこそこ。しっかり押さえて」

そのうちタオルを取りに戻った際、彼が声をかけた4階にいた部長や主任がドアをあけて来た。
彼らは驚き、私を気遣い、そして黙々と流血現場の後片付けをした。

相川さんは階段の上の方にも血が落ちているのに気が付き、私に尋ねてきた。

「メルセデスさん、ここにも血が落ちているけれど、何処でオデコ打ったん?」

私は左手でさしながら言った。
「そこの階段下の脇は張られている鉄板」

相川さんは驚いた。

「メルセデスさん、ここで打ったん?ここ?ここで打ったん?ホント?
どうしてこんな所で頭打ったん? 本当にここ?」

彼は一体何処出身なのだろう?このイントネーションは九州の南の方か?


その後、私は近くの外科に行き額を5針縫った。
左目の横が内出血で腫れているので、外科の診察室で治療を待つ間
同僚がくれた保冷剤で左目付近は冷やしていた。
外科の先生が言うには、ナイフで切った傷はキレイで、縫ってもキレイな傷跡だが
打って出来た傷口はもちろんギザギザしていて、腫れもある為傷口が内側にめくれ
縫うのも時間がかかるし、傷跡もキレイにはならないらしい。
大きなコブになっていた私の額からマズ固まった血を取り除き、それから縫って、出来上がり。

同僚みんなは、顔に傷がついた、と気の毒がるが、私は気にしていない。
それよりも、もうじき50歳を迎えるオバサンが階段を駆け降りる事が大体よくない事を学習した。
気持ちは若いつもりでも、体はもう少し立てば50歳という門をくぐるのだ。
自分の年齢を自覚しなくては・・・・・。

仕事を早退した私は帰宅して左目を冷やしながら横になった。
目が覚めると額の腫れはひいていたが、左目はさらに腫れていた。
15ラウンド戦ったボクサーの様に・・・。
しかしまだ紫色には変化していないが、それも時間も問題。
夕食を終え、軽くシャワーを浴びる頃にはいよいよゾンビの出来上がり。

私はデジカメで自分の顔と紫色にはれ上がった左目辺りをアップで撮り友人に添付メールを送った。

翌朝思った程の変化はなかったが、とりあえず出社支度をして朝食を取り、メールチェックをした。
昨夜添付メールを送った友人から返事が届いていた。

「見たかったのに、パソコンのウィルスバスターが削除しちゃったのよー!残念ー!」

確かに、あの写真の顔は、ウイルスバスターには引っかかるだろう・・・・納得行く事だ、全く。

それから相川さんへ。

人は思いもよらない場所で、思いもよらない災難にあうんですよ。それはもう、神の仕業なのですから・・・。
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by mercedes88 | 2006-11-19 11:22 | ストーリー

視線

彼女は笑顔を作れなかった。

彼女は言葉も失ってしまった。

彼女はただ、頭の中に浮かんでは消える幾つかの言葉を

選ぶとは無しに、眺めていた。


彼はシリアスにならないようにリラックスしている振りをした。

彼はちょっと声を出して笑って「何でもない事なんだ」と言ってみた。

彼は待った。

そして彼は悟った。

彼の作戦が失敗に終ったと。


彼女は迷っていた。

彼女の気持ちを素直に言うべきか、言わずに大人でいるべきか。

そして彼女は「大人」になる事を選んだ。

しかしそれは完璧な「大人」では無かった。

彼女は悟った。

彼女の演技が受賞に値しないと、たとえどんな賞にさえも。


彼は作戦を変えた。

彼は新しい笑顔と、新しい話題を作った。


彼女は難しい演技に挑戦した。

彼女は1人だけの観客のために完璧な演技をした。

そして彼女は思った。

この先決して彼にはこの演技をもう二度と見せたく無いと。


彼は悟った。

この先決して彼女の気持ちを聞くチャンスは無いと。

そしてつぶやく「もういいよ、この事は忘れて」


彼は彼女に笑顔を見せた。

彼女はやるせなく彼に笑顔を見せた。



2人はカフェを出て、カフェの大きな窓の沿って歩き出した。


彼が言ったー「君の後ろに座っていた女性、凄くセクシーだったなぁ。見た?」

彼女が言ったー「ホント?じゃ、もう一度中に戻って、あと10分座っていようか?」

彼が言ったー「・・・・今日の君は・・なんだか・・・・エモーショナルだね」

彼女が言ったー「イヤだ、演技の練習してるのよ私。だまされたわね!」

彼が言ったー「そうか・・・・演技か・・・・」


彼女は思った・・・・・・・私を見ていたんだ、彼。

彼は思った・・・・・・・・一枚上手だった、彼女の方が。



彼は悟った。

彼女の気持ちはこの先一生聞かなくても理解出来たと・・・

彼女は悟った。

彼の気持ちが本当のものだと・・・
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by mercedes88 | 2006-06-10 00:28 | ストーリー

友達だから

カフェで向かい合って話している時。

あなたはいつも言う。

「君は友達だからこんな話するけれどさぁ・・・」

この間も聞いた、その

『君は友達だから・・・』

分っているって、そんなこと。

だからカフェでお茶飲んでるの。

それとも何?私の気持ちを知っていて警告している訳?

『これ以上近づかないでくれ』

それともと婉曲に

『君の事、友達って言ってるけど、ただの友達じゃないんだよ』

って言いたいの?

何にもしないから、出来たらストレートに言って欲しい。

でも、考えすぎなのかも知れないなぁ・・・。

私も言ってないから・・・・・

「好き」

って事。
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by mercedes88 | 2006-05-09 07:03 | ストーリー

すずっくさんからの イメージバトン

ジャズのサイト、”My secret room”のすすっくさんから 「イメージバトン」というものをお預かりいたしました。

すすっくさん、お忙しい中、よくお越しくださいました。
喜んで『イメージバトン』 お受けいたします。


最後の言葉から思うイメージの言葉を付けて、3名の方にお渡しする、というものだそうです。

コピーしたのは、こんな言葉の集まりでした。

***************************************

バトンのルールはイメージでつながっている言葉(キーワード)の最後に自分のイメージを1つ新しく付け加え、それを新たに『3名様を指名』した上でお渡しするということだそうです。

海⇒川⇒水⇒雨⇒雲⇒空⇒青⇒ポカリスエット⇒スポーツ飲料⇒潤う⇒汗⇒夏⇒クーラー⇒寒い⇒冬⇒雪⇒雪だるま⇒白⇒白熊⇒カキ氷⇒祭り⇒混雑⇒ラッシュアワー⇒電車⇒通勤⇒会社⇒深夜残業⇒深夜営業⇒コンビニ⇒新商品⇒春物⇒ピンクの唇⇒ちゅぅしてぇ!!⇒おんな心⇒秋の空⇒毎年恒例冬の大放出⇒福袋⇒ わくわく⇒動物ランド⇒チンパンジー⇒岡村⇒ダンス⇒甲子園⇒高校野球⇒ハゲ⇒アンパンマン⇒バイキンマン⇒はっひっふっへっほ~⇒和田あき子⇒あの鐘を鳴らすのはあなた~♪⇒名曲⇒なごり雪⇒春は近い!⇒花冷え⇒
「「桜夜風」」

⇒⇒「月明り」



すずっくさんは「桜夜風」という言葉を付け加えられたのですね。
それでは私はその「桜夜風」からイメージする言葉をして

「月明り」

とさせていただきます。

バトンをお願いしたいのは、いつもお世話になっている

”散歩絵、記憶箱の中身”のseedsbookさん

tototitta”のなるほ堂さん & minacoさん

”漂着の浜辺から”のshigeyukiさん

ご迷惑でなければ、受け取ってください。
もちろん、お断りなさっても構いません。

後ほど、ご挨拶に参ります。

Mercedes
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by mercedes88 | 2006-04-04 18:55 | ストーリー

Walk

I had a broken heart.

I had been walking home after work since my heart met with a disaster

named broken heart.

I was around 2 hours from home.

A strong March cold wind was trying to catch me. I walked a bit faster

than the wind.

But the wind was faster, and it became little bit warm, and then it held my

body.

I watched a cloud high above my head. It transformed in to a strange

figure and I let

out a laugh. I muttered………”not funny”…….

I saw many cars and a bus on the road. The passengers didn’t seem to

have a destination.


I looked for a song to match the walk.

……..[ A hazy shade of winter]…no……..[America]…no…….[April Come She

Will]!

I sang the song as I walked and I thought…….What song is for

tomorrow?......

I got my home. By that time it was blue grey time. I lingered on out side in

the twilight

dyeing my whole body in the color.

I felt I was going to fall in love with the color. And I opened the door to

home.

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by mercedes88 | 2005-11-26 07:13 | ストーリー

読書クラブ 6

 えみはエレベーターが来るのを待ちながら、シュミットと過ごした今夜の事を思い返していた。

・・・・学生時代に戻った様な感じ。まるで初めて恋をした様な、辛くて、悲しくて、打ち明けられない自分を悲劇のヒロインへしてしまう、あの幼く、切ない想い・・・・

えみは部屋に戻り明かりをつけ、パソコンを立ち上げてメールのチェックをした。
たった今送られたシュミットからのメールがあった。
『僕と一緒に桜を見ませんか?』
えみはそのメールに胸がときめき、シュミットを愛しく思い、すぐ返事を書いて送った。
『すぐに行きます!』
えみは微笑んで部屋を出て、隣の敷地へ行った。そして満開の大きな桜の木の下で空を見上げているシュミットを見つけた。
「えみ、ほら来て!上を見ると、ね!桜の花と一緒にお月様が見えるよ」
シュミットが立っていた場所に行き、空を見上げるえみ。顔を真上に向けているので体のバランスを崩さない様にえみの後ろに立って、えみの両腕を軽く支えるシュミット。
「本当に素敵!」
えみが陽気につぶやく。えみの髪からほんのりとじゃ香の香りがする。シュミットはその香りを楽しみながらえみに聞いた。
「『若草物語』では誰が一番好き?」
えみは月を見るのをやめ目を閉じ、シュミットに両腕を支えられたままで答える。
「エミー。私と似た名前でローリーを結婚するエミー。だからローリーにも恋したわ。“君が死ぬ前には必ずキスをする”と約束するローリー。“じゃこれからパリに行こうか”と叔母の家へ行くのを嫌がるエミーに言うローリー。私の夫は長い間私のローリーだった。私が死ぬ前にキスもしてくれたし、パリへも連れて行ってくれた。でも私がまだ何もしてあげていないのに、彼は死んでしまったわ」
シュミットは両腕で支えていたえみの体を自分の胸に優しくあずけ、両手は体の横に下ろされたえみの手を軽く握った。
「ごめんなさい、そんな事話させて。僕がローリーだったらって話をしたかったんだ」
誤るシュミットにえみは明るい声で言った。
「どうもありがとう。でも今はもう大丈夫よ。1人で生活もちゃんと出来ているし、読書クラブだって作って楽しい時間を過ごしているわ。でしょう?」
シュミットはえみの両腕を優しくさすりながら話す。
「えみ、僕はあなたを初めて会った時あなたの声に恋をした。人の心を暖かくする様な声だと思った。あなたにはきっとすてきな家庭があると思った。あなたから自分の名前を呼ばれるあなたの夫、子供達、あなたの家族をうらやましいと思った。あなたの部屋へ行って、あなたが1人で生活しているのが分かった。うれしく思ったけれど悲しいとも思った。あなたはご主人に何もしてあげていないのにご主人が亡くなったと言ったけれど、あなたはそのすてきな声で彼の名前を呼んでいたんです。いろんな場所で、いろんな時に。だから何もしていない、なんて思わない方が良い」
そう言い終るとシュミットはえみの腕から両手を離した。えみは2,3歩横へ行き、低い桜の枝を手に持って揺らし、シュミットを呼んだ。
「シュミットさん、ほら、きれいでしょう、花吹雪!」
えみが揺らす枝の桜の花びらが宙を舞いながら落ちていく。その中をシュミットが歩きえみに近づく。
「きれいだね、とても」
「シュミットさん、私はあなたのお母様位の歳なの。こんな風にあなたに惹かれるのは私が愚かだから。まるで10代の子の様に心がときめかせて、そしてとても戸惑っている。ごめんなさいシュミットさん。あなたには、あなたの年代の可愛い素敵な女性と幸せになってもらいたいの」
シュミットはえみの前に立って笑顔で言う。
「パール・バックが最後に書いた本の中のせりふみたいだなぁ」
そしてえみの右腕を取って自分の方へ引き寄せ、えみを背中から両手で軽く包み込む。そしてつぶやく。
「僕の事を想ってくれてありがとう。そんなすてきな事が今夜分かるなんて思いもしなかった。とてもうれしいよ。だからもう本の中のセリフみたいな事は言わないで。二度と」
えみはシュミットの素直さにとても心惹かれた。彼の自分への想いを受け止めるかどうか、迷っていた自分がさっきまでいたのに、彼への想いを打ち明けた今この瞬間何処にもその自分を見つけられなかった。
「パール・バックの最後の本・・・・・ジェイリッド・バーノウに惹かれたわ、昔の話だけれど。あれは確か『愛に何を求めるか』だったわね。」
シュミットはえみの頭のてっぺんにキスをしながら言った。
「僕はジェイリット・バーノウと同じ歳なんだ。でも彼みたいに若い子と結婚する予定はない。僕が欲しいのは君と過ごす時間。君と語らう時間。そして君を愛する時間」
えみはシュミットの腕に優しく包まれながらシュミットにささやく。
「じゃ、もうすべてあなたは手にしているわ」
シュミットはえみの体から腕をはずし、えみの正面に立って、えみの体の横にある手をそれぞれの手で握り、指を絡め、そしてえみを見つめつぶやく。
「僕はまだもらっていない、僕が一番欲しいものを」
えみがうつむいて、気まずそうにつぶやく。
「ゆっくり進んでいきましょう」
シュミットは笑顔で答える。
「えみ、君が思っているものも僕はまだもらっていない。でもそれはいいんだ、急がなくて。もちろん僕はそれをもらう時にも、今僕が一番欲しいものも一緒にもらえたら、僕の頭の隅にある、君のご主人への嫉妬は消えるけど」
えみは顔を上げてシュミットに聞いた。
「彼になぜ嫉妬してるの?」
シュミットはえみの額にキスをして、えみを見つめて言った。
「君は僕の名前を呼んだ事がない、『読書クラブ』の仲間としてでなく」
えみは優しく微笑んでシュミットを見つめながらつぶやいた。
「シュミット」
シュミットはえみの顔を両手で優しく包んで唇にそっとキスをし、えみの体を優しく抱き寄せた。
桜の木の下で寄り添う二人に春の月明かりが柔らかくふりそそぐ。


・・・・・・The end

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by mercedes88 | 2005-11-04 06:45 | ストーリー

読書クラブ 5

 店から出てえみは明るい声でシュミットにライブの感想を言った。
「ラストの曲のメロディーがまだ頭に残っているわ。素敵な曲だった。誘ってくださってありがとう」
シュミットはえみを見るために後ろ向きに歩きながらこう言った。
「えみ、あなたは自分の生活を楽しんでいますか?」
「ええ、楽しんでるわ。シュミットさんに誘われて若い人に人気のお店で素敵な音楽を聞いて。」
えみは笑顔でそう言った。
シュミットは立ち止まってえみの前に立ち、自分の顔がえみの顔の高さまで来るようにかがみ、えみの顔を見つめて、しかし笑いながら言った。
「じゃこれからもっと楽しんでください。また誘いますから」
そう言うと前を向いて歩き出した。そしてえみの横に並び今度はつぶやく様に言った。
「今夜のドレス素敵ですよ。シンプルだけどエレガントだ。僕は好きです、そのドレス」
そしてシュミットは右腕を伸ばしてえみの右肩に軽く自分の右手を置いた。決して、抱く、という感じではなく、とても軽く置いた。そしてえみの肩に力が入るのを感じて、シュミットはえみの肩に置いた右手を肩から下ろし、えみから少し離れた。
えみはシュミットの右手が肩にまわされた時に感じた安心感に驚いたと同時に、そう感じた自分に戸惑った。
少し前を歩くシュミットが駐車場に入り車を出してえみが立っている所で止まり、内側から助手席のドアを開けた。
えみが助手席に乗り込む。
シュミットはえみの足元で鈍く光る、黒のビーチサンダルに付いたブルーの花飾りを見てえみを愛しく思った。そしてえみの顔を優しい眼差しで見た。
シートベルトを締めて運転席のシュミットを見ようと顔を上げたえみは、シュミットの、自分を見つめる顔を見た。駐車場の照明に照らされたシュミットの笑顔をえみはとても優しいと思った。その笑顔を見ていると自分も笑顔になって来る。
えみはシュミットの髪に触れようと思わず左手をシュミットの顔に近づけようとしたが、その手を自分の右の耳元に持って行き、サイドの髪を耳にかけた。
シュミットはえみが髪を耳にかける仕草に惹かれた。そして思った。
“何が彼女を引き止めているんだ?”と。
 
 シュミットは車を走らせ、えみはライトに照らされた夜の街を見る。
そしてシュミットは車を運転しながら言った。
「今夜はまるで『ブラームスはお好き?』みたいですね」
シュミットは続けて話す。
「バーグマンがいくつの歳の役をあの映画でやっているか、知っています?」
「いいえ、知らないわ。パーキンスが20代後半・・・、バーグマンはいくつかしら?」
シュミットは答える。
「バーグマンは確か39歳です。」
えみは何となくそれは違うという気がした。
「小説ではあの女性は40代の初めじゃなかったかしら?」
シュミットは前を向いたまま話を続ける。
「そうだったかも知れない。本をまた読んでみないと覚えていない、年齢までは」
えみは助手席の窓から外を見ながらつぶやく。
「年齢って大切よ、あの小説には・・・・」
シュミットは言う。
「確かにそうですね。僕はあの映画で、“恋に落ちる”事と“愛する”事の違いを見た気がしました。バーグマンは不幸を選んだ。それが彼女の“愛する”事だから」
えみも、窓の外を見ながら話し続けた。
「あの映画で流れたブラームスの交響曲3番が好きだわ。美しくて切ない旋律・・・」
「あの曲を書いた頃ブラームスはクララ・シューマンに恋をしていた。叶わない恋を」
えみは言う。
「いいえ、クララも彼に想いを寄せていたわ」
赤信号で車を止めたシュミットがえみを見る。えみはうつむいて膝の上に手を置いている。
シュミットは、えみの耳元にかかるショートヘアーに触れたかった、えみの肩を抱き寄せたかった。しかし何も出来ないまま信号が青に変わりシュミットは車を走らせた。

 えみのアパートの前にシュミットが車を止め、えみは車から降りた。
「今夜は誘ってくださってありがとうございました。おやすみなさい。運転に気をつけて」 
シュミットは微笑んでえみに手を振り、そして車をスタートさせた。


To be continue......

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by mercedes88 | 2005-11-03 00:11 | ストーリー