マーサとリナとマリオ、そしてギルバートと聴くK・Jのカントリー

お手軽に作られた(お好きな方、ごめんなさい)「loveactually」の冒頭から涙したワタクシ。
このところ、どうもおセンチになっているようです。

島の方からDVD「マーサの幸せレシピ」をお借りしました。
貸してくださった方に言わせると
「もう最近見ていないから、ストーリー忘れたわ」
って、どうしてそのDVDが私の手元にきたのでしょうね・・・・・。

本編が始まり、1分50秒後、私はまたしても涙を流し始めた。
手際よくセロリを切る手元、黄色いパプリカ、キレイにセッティングされるレストランのテーブル。
オリーブオイルに浸されるハーブの数々、そしてレモン・ピールを削る・・・・・
その映像を引き立てる様に流れ始めるキース・ジャレットの「カントリー」

ストーリーは、独身女性のマーサはドイツの人気レストランのヘッド・シェフ。
ある日事故死したシングルマザーだった姉の8歳の娘リナをとりあえず引き取る。
イタリア人の父親が迎えに来るまで、リナと約束をするマーサ。
8歳の子供とのサイレントな生活、遅刻や欠勤、同僚の産休などもあり
レストランのオーナーはマリオと言うイタリア人シェフを雇う。
マリオと衝突するマーサに対し、マリオになつく8歳のリナ。
しかしひとりで歩いてきたマーサの心が少しづつ
リナとマリオの2人に寄り添うようになってくる

ストーリーはさておき(はぁ?)全編に流れるキースのピアノはキレイに流れる。
美味しい料理にも、センスのいいマーサーの部屋にも、光り輝くマーサの笑顔にも合う。
音楽を「キレイ」と表現するのは貧しい言葉使いだけれど
疲れて、荒れた、まるで飲み干された野菜ジュースの入っていたグラスの様に
濁った今の私の心に透き通った音として静かに入り込んでくる。

音楽とは別に、私は何度かDVDを見ながら胸を熱くした。
マリオは厨房にカセットデッキと幾つかのカセットテープを持ち込み料理をしながら聴いている。
そう言う姿はギルバートを思い出させた。
私たちはカンツォーネを聞き、歌い、その意味をギルバートは私に話して聞かせた。
マリオがリナのお願いを聞いて、マーサの家に材料を持ち込んで料理を作った。
3人して床に座り、お皿を使わず鍋から直接フォークにパスタを絡め口へ運ぶ。
ギルバートはパスタを作ると、まるでこの世の終わりがすぐにやって来る、と言わんがごとく
私をせかせ、フォークを握らせ、「食べよう!」と叫ぶ。
私がマーサと同じ様に「お皿は?」と言うと「作ってすぐ食べないと!さっ早く食べて!」と言う。
私は言われた通りフォークで小さなパスタの渦を作り湯気の立つパスタを口元へ持って行く。
鍋の回りに付いたソースをパンにつけながら鍋パスタを食べるギルバート。
初めてギルバートが作ったパスタを食べた時、正直こんな美味しいパスタ初めて食べたと思った。
そうギルバートに言うと、鍋の中のパスタを適当に半分に分け
「じゃ、こっちはボク、こっちはキミ。ボクの分食べないでね」
と真剣な顔付きで言うギルバート。
私が驚異の速さで自分の領域のパスタを食べ終ると、パンを食べていたギルバートは
「もっと食べて!」と鍋の中の消えた境界線のあたりに
鍋に立てかけていた私のフォークで特大なパスタの渦を作って私へ差し出すギルバート。
そう言うたわいない事が凄い勢いで私の頭の中を流れて、アッと言う間に何処かへ消えて行った。

映画ではマリオはニョッキ作りの名人だとか。
ギルバートは結局、私が作ったニヨッキを3度しか食べなかったが
やはり「この世の終わりが来る勢いで食べる」ものだとギルバートは言った。
カルボナーラもそう。
ギルバートは「シンプル、だけど、もの凄く難しい」と言っていた。
いろんな映像が、DVDを見ている私の脳のもう1つのスクリーンに早送りで映る。
そして「カントリー」がまるで
『昨日は楽しい日だったけれど、明日もまた楽しい日だよ』
と言っている様に、私の体の中を流れて行く。

ハッピーエンドの映画。
ストーリーとは別なことで、私はこの映画を私のお気に入りの仲間に入れる。

キース・ジャレットがお好きな方も、そうでない方も、チャンスがあればどうぞ。
陽の光が映える時間の風景は、どの国も、たとえ戦火の耐えない砂の国でも
きっと美しいだろうと、ふっと思ったりもした、Mercedesでした。
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by mercedes88 | 2007-05-12 07:27 | 音楽
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